会社を辞めたいけど会社が辞めさせてくれない。どうすればいいんだろうという悩みにお答えします。
一部上場企業での人事部長経験のあるダイゴです。
会社を辞めたいけれど辞めさせてくれないと悩んでいる人、多いですよね。
- 退職の話をしても上司にスルーされてしまう
- 引継ぎ人員が採用できるまで退職できないと言われる
- 退職は認めるけど3カ月後・半年後と言われる
- 約束した退職日をずらされる
- 退職するなら有給休暇は消化されないと言われる
- 退職するなら損害賠償請求すると脅される
まだまだあるかもしれませんが、これらのこと、すべて無視して大丈夫です。就業規則にどう書いてあろうと関係ありません。
あなたは日本という国に住んでいます。奴隷ではないのですからあなたが退職をしたいと言ったら退職できます。
今回の記事では
- 退職を申し出てから何日で辞められるのか?
- 会社がブラックで辞めさせてくれない場合の効果的な対処方法
を伝授します。
退職代行サービスが流行っているようですが、この記事を読めば業者にお金を払わなくても自分で解決できますよ。
Contents
辞められないと思ってしまうのは洗脳されている
会社が退職を取り合ってくれなくて困っているという人もいると思いますが、まずは正しい知識を身に着けておくことは重要です。
正しい知識を知ると悪いのは自分ではないと理解できます。その理解が行動する力となります。
退職できずに困っているという人はたいてい相手の立場を考えるよい人です。
引き継ぎする人がいないのに自分が辞めるのは申し訳ない、同僚に迷惑をかけたくない・・・と自分を責めてしまいます。
しかしそれは違います。
引き継ぎ者を探すのは会社の責任です。また同僚のことを考慮するのは人として美しい行為かもしれませんが、自分のことも大事にしたほうがよいです。
「会社に迷惑をかけないように引き継ぎの人が採用できるまで自分は辞めてはいけない」と思っているようであれば、あなたはいつの間にか会社に洗脳されています。
会社は何日前に辞められるのか?
正社員の場合
正社員の場合、契約期間という概念がなく「期間の定めのない雇用」と呼ばれます。特段の理由がなければ雇用契約が継続します。
期間の定めのない雇用の場合、民放627条1項が適用されます。
民法
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
627条
1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。
正社員の場合、退職を申し出てから2週間経過すれば、理由に関わらずいつでも退職ができます。
ただし就業規則に退職希望をする日の1カ月以上前に申し出をすることと書かれている場合は、それに従うのがよいでしょう。
というのは、会社にも給与計算等の事務手続きがあり、民法の規定に関わらず1ヶ月程度の予告期間は妥当であるという考え方もあるからです。
一方、就業規則に3ヶ月以上前に申し出することと書かれてもそれに従う必要はありません。民法が優先され就業規則の定めは無効になります。
契約社員の場合
契約社員の場合、原則、契約期間満了までは会社との合意なしに辞めることはできません(合意があればもちろん辞めることができます)。
ただし、給料が支払われない・パワハラがある・自分や家族が病気などやむを得ない事情がある場合は辞めることができます。
また、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
会社が手続きをしてくれない場合はどうすればいいのか?
前述の通り、正社員の場合、少なくても1ヶ月前に退職を申し出れば無条件で辞めることができます。これは従業員の権利です。
しかし会社が全然対応してくれなくて困っているというケースの人もいるかと思います。対応方法としては次の2つが考えられます。
退職届を配達証明で郵送する
あとでまた書きますが、これは私が実際にブラック企業を退職する時に使った方法です。
- 「◯月◯日で退職します」という退職届を配達証明で郵送します。日付は郵送する日から少なくても14日以上先を指定します。
- 退職日まで勤務します。
- それ以降は出勤しません。
退職届には「退職します」ときっぱりと書くことです。「退職をお願いします」だと退職日の調整の余地ありと取られてしまう可能性があります。
内容証明郵便にしたほうが確実ですが、僕の場合はそこまでするのは面倒だし配達証明だけでも十分相手に意図を伝えられると考えて配達証明だけにしました。
確実にしたい場合は内容証明郵便&配達証明にするのがよいでしょう。
こちらのサイトが詳しいです。労働トラブルねっと!
この方法の難点はそれなりに時間がかかるということです。会社側からアクションがないと実際の退職手続きが進まない可能性があります。
また退職日以降、(会社から見ると)勝手に出社しなくなることに対して感情的になる会社もあるかもしれません。
そこでもう一つの方法をご紹介します。今の僕ならこちらの方法を取ります。
「労基署に相談します」と伝える
労基署の正式名称は労働基準監督署です。労働基準監督署は企業が労働基準法を守るよう監督するところです。
正直なところ、労基署が「会社が退職させてくれない」という相談に対処してくれるかは微妙なところなのですが、それでも「労基署に相談します」という言葉はあなたの上司や人事部にはかなり効きます。
なぜなら上司にとっては労基署というのはよくわからない存在で、でも勝手に判断してはいけなそうなので人事部に相談することになります。
また人事部にとって労基署は恐ろしいところです。会社を辞めさせてくれないようなブラック企業は労基署に睨まれたら困るようなことが一つ二つあるはずです。
「労基署でついでに未払い残業代についても相談します」とでも言えば会社は穏便に済ませようとするはずです。
それでも勇気が出ない場合は退職代行サービス
退職届を内容証明で郵送するのも労基署に相談するのも、心身共に疲れていてできそうもないという場合は退職代行サービスに頼ってよいと思います。
精神的に疲労してメンタルをやられるくらいなら退職代行サービスでさっさと悩みを解決してしまいましょう。そして新しい道に気持ちを切り替えましょう。
僕が新卒の時に体験した退職までの戦い
最後に僕の個人的な体験談をお話しさせていただきます。
今から25年前、新卒で入った会社がブラックでした。1日50件の飛び込み営業を強制推奨する会社です。
毎日夜6時くらいになると外の公衆電話から支店長に営業報告をします。契約が取れていないと、「取れるまで戻ってくるな」と言われます。
「いや、夕方の6時から飛び込み営業したって誰も相手してくれないです」なんて言い訳は通用しません。
まあ、ドトールで時間を潰して夜8時ころ支店に戻り「すみません、頑張りましたが取れませんでした!」と謝るわけです。
そんな毎日に嫌気がさして、精神的にもかなり参っていたため、入社半年で退職を決意しました。
退職したい旨を上司に伝えたのですが、「話はまた今度にしよう」と言って煙に巻きます。新人を辞めさせると支店長の査定に響くらしく辞めさせてくれません。
週に1~2度は話を進めてくれるようお願いしたのですが、まったく進捗がなく、密かに計画していたアクションを起こしました。
会社へ行くのをやめたのです。
と同時に改めて退職届を配達証明で支店長宛に送りました。これまでのやり取りを録音していることの手紙も添えておきました。
僕の中では退職の意思を伝えてから14日間経過したので、もう会社に行く義務はない、自分に理があると考えたわけです。大学で労働法を取っていたのが役に立ちました。
本当は配達証明で退職届を出してから14日間出社すべきでしたが当時はそこまで頭が回りませんでした。
会社に行かなくなってから支店長は僕の自宅までやってくるようになりました。もちろん居留守で出ませんでした。
それからさらに2週間程度はかかりましたが、とうとう退職を承諾する旨の連絡がありました。
退職が決まった時は本当に晴れやかでした。あのまま我慢していたらまちがいなく精神をやられていたでしょう。
最後の最後まで支店長はひどい対応で、次の会社で働けないようにしてやると脅されました。面接を受けた会社から問い合わせが来たら悪評を言うぞと。
そのように脅された方もいるかもしれません。しかしそんなことは心配無用です。なぜなら人事部が前の会社に問い合わせをすることはまずありません。
まとめ
ここまで書いてきたことはあなたがブラック企業にいることを想定して書いたものです。
パワハラ・セクハラ等のハラスメント、慢性的な過剰労働がまん延しているような職場であれば、そしてそれにあなたが嫌だと思っているのならいますぐ会社を辞めるべきです。
身体や精神を壊してからでは手遅れです。
一方、あなたがまともな会社に勤めていて辞めようと考えている場合は、きちんと会社と合意をとって退職日や最終出社日を決めましょう。